第1回「現代のナイチンゲール──産業保健師という仕事」
2025.09.17

はじめまして!もこすく相談員のゆうきです。
私は産業保健師です。
「えっ保健師?看護師と違うの?」と思った方も多いでしょう。結論から言うと、違うのですが、その違いはほとんど知られていないのが現状です。
それもそのはず。全国に約4,200名しかいない、ちょっとレアな存在なんです。
私の調査によると、初回面談で「保健師を知っている」と答えた人は、なんと5%未満。
でも「看護師の資格も持っていて、実際に看護師として働いていた」と話すと、みんな少し前のめりになります。
……悔しい!
もうちょっとだけ、保健師のことも知ってほしい!
ということで、今日は少しだけ私の話を聞いてください。
ナイチンゲールの本当のすごさ
皆さん、「ナイチンゲール」と聞いて思い浮かべるのは、戦場で献身的に看護をした姿ではないでしょうか。
19世紀半ば、クリミア戦争で活躍し、「クリミアの天使」と称された彼女。
でも実は、ナイチンゲールが看護師として働いたのは、わずか2〜3年ほど。
彼女が本当にすごいのは、病院の衛生環境が負傷兵の死亡原因になっていることに気づき、それを統計学とグラフを使って国会議員に説明し、病院の環境を改善させたことです。
彼女が考案した「カラーグラフ」は、視覚的にわかりやすく、議員たちを納得させました。
つまり、ナイチンゲールは「患者」だけでなく「環境」まで看護の対象とし、数値化(可視化)・提案・改善というプロセスを実践したのです。
その意思を継ぐ者──保健師
そして現代の日本で、ナイチンゲールの意思を受け継いでいるのが、私たち保健師です!
保健師は、さまざまな場所で活躍しています。
保健所や保健センターでは「行政保健師」
学校では「学校保健師」
企業では「産業保健師」
たとえば、産業保健師の私はこんなことを日々考えています。
最近、若者の肥満が増えている?データを見てみよう。
メンタル不調が目立つ?原因は何だろう?
骨折の労災が増加?どんな対策が効果的?
パパ育休が増加中?仕事との両立で困っていないかな?
個人の健康だけでなく、企業という組織全体を元気に、幸せにしたい。
それが私たち産業保健師の願いです。
ナイチンゲールの言葉に背中を押されて
ナイチンゲールの名言があります。
「最も上手に人をおさめるのは、その人のためになること、親身になって考える人です。」
この言葉を胸に、私は今日も精進します。
保健師ゆうきのプロフィール
担当連載「ゆうきと愛を届けます」
――――――――――――――――――――――
看護師として大学病院での勤務を経て、現在は産業保健師として企業で働きながらもこすく相談員としても活躍。ナイチンゲールの精神に強く共感し、「個人の健康だけでなく、組織全体を元気にしたい」という思いを胸に、日々業務に従事している。信条は「情熱とロジックは両立する」。プライベートでは一児の母であり、ワーママとして奮闘中。連載コラムでは、個人はもちろん、会社も元気になるために役立つ情報を発信していく。