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第2回「私の保健師像 〜そばで寄り添う「伴走者」として〜」

2025.12.02

第2回「私の保健師像 〜そばで寄り添う「伴走者」として〜」

「保健師ってどんな人?」と聞かれたとき、私はいつも「人に寄り添う“伴走者”」だと答えています。 保健師は、健康や生活に関する悩みを抱える人々のそばに立ち、時には一緒に悩み、時にはそっと背中を押す存在です。 私は行政保健師として地域の母子や障害者、高齢者支援に携わった後、現在は産業保健師として働く人々の健康支援に取り組んでいます。立場や対象が変わっても、「寄り添うこと」「一緒に歩むこと」という姿勢は変わりません。

時には話を聞き、時には一緒に考える

行政保健師として地域の方々と関わってきた経験、そして今、産業保健師として働く人たちの健康を支える日々の中で感じるのは、「保健師って、ちょっとおせっかいな役割かもしれないな」ということです。相手の生活や働き方に踏み込むこともあるし、時には「余計なこと」と思われることもあるかもしれません。でも、それでも「少しでも健康な方向に向いてほしい」という思いがあるからこそ、声をかけたり、話を聞いたり、提案をしたりしています。

人の価値観や生き方を変えることは、簡単ではありません。むしろそれは不可能だと思っています。無理に変えようとすることは、かえってその人の負担になることもあります。だからこそ私は、まずはその人の話に耳を傾け、背景や思いを理解することが大切だと考えています。そして、その人の考え方や大切にしていることを尊重しながら、ほんの少しでも「健康に近づくきっかけ」になれたらいいなと思っています。
保健師は、専門的な知識や技術を持っているだけではなく、相手の気持ちに寄り添い、必要な支援につなげる“橋渡し”のような存在でもあります。時には話を聞くだけで、時には一緒に考えながら、少しずつ前に進むお手伝いをします。

伴走者でありたい

私が大切にしているモットーは、「伴走者でありたい」ということ。保健師は、誰かの人生の主役にはなれません。でも、そばで一緒に歩くことはできます。困ったとき、つらいときに「話してみようかな」と思ってもらえるような存在でありたい。そんな気持ちで、日々の仕事に向き合っています。

保健師という仕事は、目立つことは少ないかもしれません。でも、人の暮らしや働き方に深く関わり、その人らしい生き方を支えることができる、やりがいのある仕事です。これからも、そっと寄り添いながら、誰かの「伴走者」であり続けたいと思っています。

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保健師さとみのプロフィール
保健師
担当連載「日々のすきまに、保健師のつぶやき」
 
行政保健師を経て、現在は産業保健師、もこすく相談員として働く。 誰かの体や心がちょっと疲れたとき、「話してよかった」と思ってもらえるような存在を目指して、日々社員の声に耳を傾けている。 やわらかく、話しかけやすい雰囲気が魅力のもこすく相談員。 自分自身も子育てや働き方に迷いながら過ごすひとりの社会人として、 等身大の視点でコラムを届けていく。

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